京極夏彦 『巷説百物語』

 ちょっと時間はかかってしまいましたが面白かったです。
 短編集ではありますが、読んでいくうちにだんだん主要な登場人物のバックボーンが見え隠れしてくるので、続きが楽しみですね。

 読んでいてふと思ったのは、このシリーズは京極堂のシリーズとは逆の位置にあるのかな、ということ。
 つまり京極堂のシリーズの方は、京極堂が「憑き物落とし」という形を借りて謎を現実レベルに解体していくことで事態の正常化を図るのですが、こちらのシリーズでは逆に又市が「小股潜り」で詐術を使い妖怪(あるいは幽霊など)を対象となる人物の現実レベルに引き寄せることで事態の正常化を図る、ということでしょうか。

 カバー裏の絵も、何気に最後に収録されている「帷子辻」で出て来ているんですね。
 三冊目も初版、探しに行かないと。