浅暮三文 『左眼を忘れた男』

左眼を忘れた男―I wanna see you (講談社ノベルス)
 特殊な五感を扱ったシリーズの、「視覚」編ですね。
 この物語は、主人公がいきなり植物状態でどこかに落とした左眼の伝える映像だけを頼りに、というものなので何と言うか、他者とのコミュニケーションによって展開する物語よりも地味になってしまう印象。

 正直ラストの展開は途中何となく予想していたものでしたし、ちょっと終盤がややこしかったのですが、左眼だけが頼り=自分では何一つ出来ないというある種の極限状況は面白かったです。こういう突き詰めた描写、上手いなぁと思います。