加納朋子 『ささらさや』

ささらさや (幻冬舎文庫)

 読んでいて、とにかく優しくて優しくて。
 幽霊になった夫の「馬鹿っサヤ」という呼びかけが切ない1冊でした。
 登場人物の中には極めて自分勝手な都合を、何の力も持たないサヤに押し付けようとする人間もいるのですが、作品に登場する誰もが優しい、加納作品の綺麗な部分が良く出ている物語だと思いました。
 本当に馬鹿が付くほどお人よしで、放っておけば騙されて酷い目に遭いそうなサヤですが、そんな彼女だからこそサヤの周りにはいつしか人が集まるんでしょうね。
 でも、弱い弱いと思っていたサヤも、実は守られるだけではなく自分で歩く力を持っている、そんなところが素敵な作品でした。


 ・・・久々の読了感想なので、感想の書き方を忘れていたり。