ポール・アルテ 『赤い霧』

赤い霧 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
読み出したらサクサク読めてしまいますね。
前半、ブラック・フィールドで繰り広げられる事件は面白かったです。ただ半分あたりで事件の解決が見えてきた時「あれ?」と思ったのですが、あそこでもう一回ひっくり返ってあのままの展開で行ったほうが個人的には好みだったかなというのが正直な感想。
後半、ロンドンを中心に展開する事件では、それなりに作者の仕掛けも上手く行っているんでしょうけど、前半での伏線の張り方が丁寧ゆえに先の展開は読みやすいのではないでしょうか。
全体的にトリックは小粒ですが、作品としては広げすぎたかなぁという気も。
もっとも、この後半のネタへ持っていくやり方やその展開が、マニアックで好き心をそそるんですけれどもね。