エリス・ピーターズ 『修道士カドフェル11 秘跡』

秘跡 ―修道士カドフェルシリーズ(11) (光文社文庫)

11巻を読んでいないことに気付かず、12巻を先に読んで「?」と思ったいわくの1冊。
これを読んでようやく歴史が繋がりましたね。この巻で女帝モードとスティーブン王の側の勢力図に決定的な出来事が起こってますから。
もっとも物語の本筋は各巻独立しているので全く問題ないですけれど。

今回はカドフェルが活躍するような殺人事件も陰謀も無く、途中で謎そのものの解答もミエミエだったりするのですが、どんな着地点に向けてカドフェルがどんな道筋を辿って多くの人物の幸福を確立するのか、という物語です。
多分にご都合主義的な展開もあるものの、やはり単に登場人物の抱える秘密や後ろめたさを暴露するだけの名探偵ではない、カドフェルならではの優しさというのがあります。
途中、危機的状況もあったりしますが、最後は全て大団円ということで。

ただ、やはり作品としては小粒な印象も残りますけれどもね。