アガサ・クリスティ 『運命の裏木戸』

運命の裏木戸 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

トミー&タペンスの最終作。『秘密機関』の時には20代の若者だった二人が70代半ばだったりするのですが、文字で読んでいると若いままの姿に思えることもありますね。
とにかく変わらず生き生きとしているこの二人はやっぱり素敵です。

物語は引退して田舎に引っ込んだ二人が、たまたま越してきた家で古本を整理していたらその中に繋げると「メアリ・ジョーダンは自然死でない」という意味深なメッセージを読み取ったことから始まります。
この冒頭からすっかりタペンスと一緒に事件に首を突っ込んでしまった気分になるのですが、その先も次々に明らかになる意外な事実とスリリングな展開であっという間に結末を迎えてしまいました。

ただし、シリーズ最終作なだけに、これまで二人が関わった事件についての話も出てくるので、先に他のシリーズ作品を読んでおいた方がいいんでしょうね。特に「NかMか」については、事件の真相の重要な事柄が作中で語られていますし。(実は『親指のうずき』は読んでいなかったりするので、どの程度影響があるのかは分かりませんが。)