エリス・ピーターズ 『修道士カドフェルシリーズ13 代価はバラ一輪』

代価はバラ一輪 ―修道士カドフェルシリーズ(13) (光文社文庫)
カドフェルシリーズと言えば、これまでのパターンでは若い男女の試練の多い恋物語と事件が絡み合って、混迷する事態をカドフェルの知恵と粋な計らいで四方丸く収める…という展開が多かったのですが、今回はやや異なっていますね。
まだそれほどの年とはいえませんが、今回の恋物語の主人公は未亡人で、しかも恋愛要素は非常に薄いです。
何より、カドフェルの推理の冴えが今ひとつインパクトが弱いかなという印象。伏線を最後に回収すると言うよりは、自然に明らかになっていくという感じが強いですね。
事件の方は幾つものことが偶然に重なって起こり過ぎていて、今ひとつ一連の流れの中での統一感が弱い気も。事件を引き起こす舞台作りはとても魅力的なんですけれどもね。
ただ何と言っても、いつの間にかレギュラーの地位についている、シスター・マグダレンが今回も素敵です。