これでトミー＆タペンスは全作読み終えてしまったことになります。
何だか、もうこの先トミー＆タペンスを新作として読めないことが残念でなりません。
最後に読んだのがシリーズの中でも評判の高い本作ですが、評判に違わず面白かったです。
クリスティというのは、過去の事件を何でもない事柄から掘り起こして行くという、一見地味な展開を非常にドラマティックに描くのが得意ですね。『運命の裏木戸』もそうですし、『スリーピング・マーダー』や『五匹の子豚』なんかもそうですね。
途中までは「本当に事件はあったのか？」という以前に、どんな事件があったかすら分からないのに、最後の犯人との対決の劇的なこと。まさかあの人が、という、最後の最後まで思っても見ない展開、クリスティのストーリーテリングの上手さに引っ張られて一気に読んでしまいました。
