全７編の短編集ですが、いわゆる連作短編集でありオムニバスのような感じですね。
一つ一つは間違いなく独立した事件であるのに、フォーチュンブックという不思議な本、それもとある書店である日売れた本…というつながりが、バラバラの短編を組み合わせてひとつの絵を作っている、そんな１冊です。
前７編、ではありますが、最後の1編は全体の絵を完成させるためのものであると同時に、その先の悲劇を予感させる話ですね。
何と言うか、誰一人幸せにはならない物語なのですが、完成する絵があまりにも見事で「読まされてしまう」１冊という印象。
かなり荒唐無稽なものを内包しつつも、現実と虚構のバランスが良くて、「もしかしたら…」と思わされてしまう部分もあります。
