大学の工学部の研究室を舞台に繰り広げられる事件と複雑な人間模様、ということで、著者には知り尽くした世界ですね。コミカルなイラストがまた人物描写を助けていて、この辺も相乗効果が高いです。
使われているトリックは、読んでいて「多分どこかにこの種のトリックはあるんだろうな」とは思っていましたが、終盤に近付くまではどこに仕掛けられているのかは確信できずに読んでいました。
主要登場人物の各視点ごとで描かれた短い章ごとに区切られ、その中に犯人Xの独白が入っているという時点でまぁ疑ってしまうんですけどね。ポエティカルな文章と、コミカルな絵がとにかく効果的な1冊でした。
森テイストが好きならば軽く楽しめると言う感じの1冊でした。