柄刀一 『ゴーレムの檻 3月宇佐見のお茶の会』

ゴーレムの檻 (カッパノベルス)

 エッシャーシュレディンガーの猫の概念を物凄く効果的に使って世界を作ってしまい、そこでミステリをやっているとでも言うのでしょうか。
 「この人にしか書けない」というテイストを色濃く感じさせてくれる良作だったと思います。
 世界構造そのものは、物凄くSFやファンタジー、しかも小難しくなりそうな雰囲気なのですが、本シリーズの中心人物である宇佐見博士の好感の持てるキャラクターや、謎とその合理的解決の鮮やかさで独特のミステリになっています。

 また、それぞれが独立した話でありつつも、最後にはまたある話とある話が繋がったり、全体の構造も良く出来ているなと思わされます。