キャサリン・コールター 『迷路』

迷路

 ハーレクインにも実は色々細分化されたジャンルがあるそうですが、この著者はもともとハーレクインの「ヒストリカル」を中心に書いていた作家だそうです。
 本作はどちらかと言えば一時期はやったFBI心理捜査官物の系統の作品であり、FBIシリーズと呼ばれるシリーズ物の1冊とのこと。

 7年前に姉を連続殺人鬼に惨殺された主人公は、FBIでコンピュータによるプロファイリング術を駆使して各地の警察に協力する部署に赴任します。そこで仕事をこなすうちに、主人公は被害者の女性を自分の作った迷路に連れ込み、そこで残酷な方法を用いて殺害する、「ストリング・キラー」が、息を潜めていた7年間の眠りから覚めて、再び活動を始めたことにいち早く気付きます。
 割と呆気なくこの犯人は逮捕されるものの、いくつかの謎は明らかにされないまま、事件は彼女の家族や同僚の間の人間関係のもつれとともに、思わぬ展開を見せることになります。

 かなり早い時点で犯人との対決をすることになったため、その後はいわゆるロマンス方面の展開になるかと思いきや、主人公が狙われる事態は発生するわ、疑惑は深まるわで、冗長さの無い展開で最後まで楽しめました。
 もっとこてこてのロマンスを覚悟していただけに、普通に楽しめた1冊でした。