ニューヨークのメトロポリタン美術館にあるゴッホの自画像をすり替えて欲しいという依頼を受けた怪盗グリフィンは、依頼に不審を抱きながらも大胆な作戦に打って出ます。
その事件がきっかけとなり、カリブ海の小国にCIAのエージェント共に極秘の作戦を遂行することになってしまう怪盗グリフィンですが、様々な思惑が入り乱れて――。
これまでの著者の作風とは傾向を異にしていますが、良い意味で「子ども向け」を意識して成功している作品ではないかと思います。
勿論「かつて子どもだった」読者にとっても、十分な鑑賞に堪える良作では無いでしょうか。
次々に目まぐるしく展開する物語は中だるみすること無く、短く区切られていても最後まで一気に読まされてしまいました。
ですが、そんな風に子どもにも楽しめるだけの起伏に富んだ展開と、高いエンターテインメント性を持ちながらも、伏線の丁寧さ、そして結末の痛快さなどの面でも、非常に良く出来た作品だと言えます。
素直に「面白かった」と大人も子どもも充実感を得られる1冊では無いでしょうか。
