大人も読めるファンタジー系の児童書と言うのは、ハリー・ポッター以降随分出ていてそろそろ食傷気味ではあるのですが、これは何だか少し毛色が違う粗筋だったので、何となく買ってみたもの。
児童書というのは本当に何でもありで、普通のファンタジーやSFよりも斬新な発想の物語があるなと、つくづく思います。
突然体が変態していく子供たちを描いた本作ですが、帯で煽られているほど「全身に鳥肌が立つ」ということは無いですし、ファンタジーなのかSFなのかホラーなのかと言われれば、やはりファンタジーの範疇を出ないものではないかなと思います。
ただ、突然のきっかけから人間からかけ離れた生きものに徐々に体が変わっていく子供たちが、家族の元にはいられないと家を出る孤独感、そして異様なものに変わっていく恐怖は面白いです。
ユニークな設定と登場人物は、児童書ならではの大人の常識に縛られない「何でもあり」という部分の良さが存分に味わえるものだと言えるでしょう。
三部作の1冊目ということで、まだ話の全貌は見えませんが、それなりに楽しめました。
ただし、最初だからということはありますが、展開の遅さや些か起伏に欠ける部分は感じます。帯の煽り文句で期待し過ぎると少しばかり失望する部分もあるかもしれません。