J.D. ロブ 『死にゆく者の微笑―イヴ&ローク4』

死にゆく者の微笑―イヴ&ローク〈4〉
 甘いハネムーンで始まる本書ですが、事件の方はかなり重いもの。
 一見して自殺する理由も無い、そして自殺などしそうもない人間の死を調べるイブは、この自殺が何者かによって企まれたものではないかと疑います。
 そこで出てくるマインドコントロールの扱いなどは、些か表層的で近未来というSF要素をかなり都合良く使ってしまったという点で気になりますし、犯人の心理面を伏線によってさらに掘り下げてあったほうが効果的であったという印象はあります。
 その一方で、シリーズを通して登場している登場人物は生き生きと描かれ、物語世界の時間の連続性と共に、益々深い部分まで描かれているということは言えるでしょう。