冒頭から、女が恋人を工作用ドリルで壁に打ち付けて殺してしまうというショッキングな事件で幕を開けますが、さらに崇高な革命を掲げるテロリストとの戦いへと、これまでになく物語の風呂敷が広げられています。
30年前に起こされたテロを再現するような事件に、夫のロークとともに当たって行くのですが、その過程で助手のピーポディの弟が事件関係者と深い関わりを持ち――と、事件は拡散する一方です。
広げられた風呂敷がある一点に集約していく様は読み応えがありますし、最後まで起伏に富んだ展開で一気に読ませられた1冊。
NYで資本主義の象徴を狙うテロといえば、あの9.11同時多発テロをすぐに想起しますが、本作が書かれたのは1999年で、実際にあの事件が起こる2年前であったのには、不思議な気がしました。
作中では、どうやらツインタワーも健在でしたしね。