桜庭一樹 『GOSICKs(2) ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―』

GOSICKs(2) ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―
 聖マルグリット学園の夏休み、日本から留学している一弥と、学園から出ることの出来ないヴィクトリカの二人の夏休みの物語が6編収録された短編集です。時系列的には丁度4巻と5巻の間で、本編での脇役達が遭遇する事件を学園のヴィクトリカが推理するという安楽椅子探偵物となっています。

 おそらくライトノベルの最大の長所である、キャラクターの魅力というものを存分に楽しめる番外編的としての質は高いですし、上手い具合に謎解きを物語に組み込んでリーダビリティの面でも十分だと言えるでしょう。

 ただし、ミステリ部分で若干の強引さがどうしても引っかかる部分もあるのは、残念なところでしょう。表題作などは、その辺りも上手く処理されているために日常の謎系ミステリとしても十分読めるのですが、『怪人』などは実行可能性の面で少々力技かなと思ってしまう部分もありました。
 (以下ネタバレにつき反転)
 さらに『絵から出てきた娘』においては、何故犯人がリボンを回収する必要があったのか、また『初恋』においてはトリックの説明に留まり、犯人の動機や事件そのものの真相の解明がおざなりであったということが引っかかります。
 いずれにせよ、番外編を集めた短編集としては、非常にバランスの良い1冊だと言えるでしょう。