リンダ・ハワード 『黄昏に生まれたから』

黄昏に生まれたから
 ある時から自分が幽霊を見ることが出来るのに気が付いた女流画家のスウィーニーは、殺人犯しか知らないはずの死の瞬間を、眠っている間の無意識のうちにキャンバスに描き出してしまうようになります。
 画廊の女性経営者のキャンドラの、離婚間際の夫リチャードに惹かれつつ、堅牢なモラルと自分の能力から来る不安に揺れるスウィーニーの描き方にも好感は持てますが、何よりもこの霊能力という要素を十二分に生かしたラストの展開が良かったです。
 最後の最後まで読ませるサスペンスの手腕も、読み応えのあるものだと言えるでしょう。