リンダ・ハワード 『夜を忘れたい』

夜を忘れたい

 過去に経験した悲惨な事件によってその能力を失ったと思っていた霊能者の主人公は、金曜の晩に起きた残忍な殺人事件の現場を透視してしまったことによって、望まない事態へと巻き込まれていきます。
 意外にこの霊能者という設定が浮いていない理由は、犯人の視点に沿って「殺人のビジョン」を見てしまうにあたり、残虐な犯行を容赦なく描き出しているためでしょう。個人的には、用意周到で冷酷なシリアルキラーの書き込みがもっとあっても凄味が出たとは思いますが、一応ロマンス小説ですからそこは求めちゃいけないんでしょう。
 最後のつわりやら陣痛やらのオチは普通に笑えました。