リンダ・ハワード 『マッケンジーの山』

マッケンジーの山
 ワイオミングの田舎町ルースに赴任してきたハイミスの女教師であるメアリーは、成績が抜群なのに不登校のジョー・マッケンジーの存在に気付きます。教師としての理念を持つ彼女は、ジョーが学校へ戻るようにと説得するためにマッケンジー家を訪れ、ジョーの父親であるウルフ・マッケンジーに出会います。かつて冤罪で2年間の懲役を受けたウルフは、インディアンとの混血と言うこともあり、人々から差別を受ける存在であることを明かし、メアリーに自分に近づかないようにと警告しますが――。

 まず、「愛と勇気のマッケンジー一家」っていうシリーズ名が凄いなぁと。
 町の人々だけではなくウルフやジョーに対しても、差別に毅然と立ち向かうメアリーの姿は、非常に好感の持てるヒロイン像なのですが、本人や周囲が当初言うほどには、「魅力の欠片もないハイミス」という描写は当てはまらず、その辺りは若干の違和感も感じるところでした。
 再びウルフに冤罪を着せようと起こる事件に関しては、論理的かつ客観的な手掛かりの提示は不十分ながらも、割と伏線の部分が丁寧過ぎるほどに丁寧であるために、事件の構造そのものにサプライズやスリリングさが薄い点は、残念で勿体無い気もしますね。