マッケンジー一家のシリーズの最終作。
諜報機関で仕事をする、マッケンジー一家の養子のチャンスは、ずっと追ってきたテロリストに娘がいたことを初めて知ります。そして、テロリストの情報を得る為に、罠を張ってサニーというその娘に近づきますが――。
当然のことながらヒロインがテロリストであるはずもないのですが、いかに事情があるとはいえ、サニーの設定に些か無理があると言わざるを得ないでしょう。
また、刊行は2000年なので、9・11テロの前ということはありますが、武器の持込などいくら何でもこれはと思う部分も多少引っかかります。
本筋であるロマンス部分では、もう少しこじれても面白かったかなということはありますが、ほとんど中だるみせずに一気に読ませるリーダビリティと、人物の魅力という面では著者の力量が遺憾なく発揮されていると言えます。
また、シリーズ最終作ということで、物語の始まりであった父親のウルフとチャンスの会話、そして本作の主人公達の間に出来た子供の名前で、絶妙な具合でシリーズを閉じています。