アン・メイジャー 『トワレの小壜』

トワレの小壜
 父親が大手香水会社のオーナーをしているリズは、父の会社のライバル会社にあたる「ダズル」の社長であるアレクサンダーと恋に落ち、自分の身元を隠したまま彼と結婚してしまいます。ですが、「ダズル」で発売されるはずの香水の調合が盗まれ、彼女の父親の会社で「リズ」と言う名でそれが発売されたことで、彼女の立場は一気に取り返しの付かないものとなり、アレクサンダーに「出て行け」と告げられてしまいます。
 それから7年、アレクサンダーは自分の子供を生んだリズを探し出しますが――。

 普通に考えて産業スパイ行為があればもっと詳細な調査をしないわけにはいかないだろうに、有耶無耶にしたままにしているあたりで首を傾げてしまうのですが、そういった粗も真犯人の正体や動機の意外性で、終わってみればそれなりの水準であったといえる1冊でした。
 ただ、最後の大団円に繋がる部分では、少々丁寧さにかけて、急ぎ足で終わらせたような印象なのが残念なところ。
 ところでこれ、書店で「トイレの小壜」と読んでしまい、いったいどんな話なんだろうと手に取りました。
 トワレでした。トワレ。