菅野彰 『不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ』

不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ
 20代の終わり、本書の著者で作家の菅野彰氏がまず雑誌の企画で「結婚への道」を模索して、占いをしたり高級エステを体験したり、念をこめて水晶を埋めに行く日を選んだり、京都の縁結び関係の名所へ足を伸ばしたりと、雑誌編集者とともに様々な体験をはじめます。
 そして「女の崖っぷち」と言われる20代最後を越えて、崖の向こうの三十路へと足を踏み入れてからは、人生修行とばかりに、断食道場などダイエットから、人間ドック、果ては滝に打たれることまで、さらには健康を求めてボクササイズなど、体当たりの様々な体験を綴ったエッセイ集。

 雑誌の企画ものとしてはありがちなものかもしれませんが、こうして1冊の本になってまとまった物を読むと、微妙な年齢の女性のリアルな生き方が透けて見えて、読み物としては面白いものです。
 社会的には周りから結婚だ子供だとせっつかれるのでしょうし、男女平等のタテマエは所詮タテマエなので、平均的にみれば「損してる」と思うことの方が圧倒的に多い可能性はあります。その上で本書のようなエッセイが広く読まれる現象は、非常に興味深い事象でしょう。
 でもそんな諸々はどうでも良くて、開き直った女って、本当に楽しそうだなぁという1冊。