クリストファー・ブルックマイア 『殺し屋の厄日』 

殺し屋の厄日

 警察が到着した殺人現場は、一面血とゲロと排泄物で耐え難い惨状となっています。そして警察の現場検証が一段落した後、上の階に住むジャーナリストのパーラベインが、自分の家から閉め出されたために、このあまりにも酷い殺人現場に不法侵入をして警察に連行されてしまいます。この部屋で殺された医師の元妻の協力を得たパーラベインは、自らの特殊技能を生かして医療団体の裏で行われる不正行為を暴きますが・・・。

 序盤から犯人も動機も分かっていますし、主人公らよりも読者のほうが先に真相を知っているので、その意味ではあまりインパクトも無い話です。ですが、食前・食中に読むのが憚られるような凄まじい殺人現場を初めとして、作中では嘔吐シーンが何度もあったり、悪人もひたすらツイていない上、自分では完璧であると思っているくせにどうしようもなくマヌケだったりと、随所にどこかおかしさの漂う1作。
 登場人物にしろ、ストーリーにしろ、スラスプティックなテイストをかもし出している作品であり、この持ち味は評価できるのですが、犯人側の視点が無駄に多く、徐々に主人公らが真相に到達する過程の面白さを損なっているのは勿体ない気がしました。