18歳になり、大学受験・高校卒業を控えた泉の前に突然現れた神埼という刑事が、身に覚えの無い容疑で無理矢理警察へと泉を連行していきます。「目高組組長、星泉」と名乗って恐喝を繰り返している少女がいるということで、現在は足を洗ったとは言え、神崎はヤクザの親分だった泉を不良だと決め付けて横柄な態度を通します。さらには、1年前の抗争の際に図らずも関わりを持った浜口までもが現れ、地上げ屋の横行する町のために泉に働いて欲しいという話を持ちかけます。
ある意味「二匹目のどじょう」であり、それ以上でも以下でもないという1冊。
ただし、『セーラー服と機関銃』という既にスタンダード・ナンバーのように認知されている作品だからこそ楽しめる部分というのも確かにあって、エンターテインメント性・リーダビリティの水準はある一定以上は保たれていると言えるでしょう。
人物に関して言えば、前作では随分と主要登場人物が死んでいたので、意外に生き残りがいたんだなぁという感想。
ただ、前作では、泉の腹心である佐久間が物語を引き締める重要な役割を担っていましたが、本作ではその役割は刑事の神前に引き継がれます。しかしながら、前作に比べると物語の引き締め役の比重というのは決して十分とは言えず、結果的に、正義感は強いものの運頼みの女子高生に過ぎない泉のキャラクター小説としても、些か弱いものとなってしまった印象も拭えないのは事実です。
物語の展開も、裏で絡み合う人間関係などの構図もそれなりに整ってはいるものの、どうにも出来の悪い意味で作り物臭さが鼻につく気もしないではありません。
それでも、"『セーラー服と機関銃』の続編"、タイトル通り"その後"ということであれば十分に楽しめるのではないでしょうか。