ノーラ・ロバーツ 『炎ゆらめく夜に』

炎ゆらめく夜に (MIRA文庫 NR 1-36 NIGHT TALES 4)
 フレッチャー・インダストリーズのCEOを勤めるナタリーが立ち上げようとしている、ランジェリー販売の新会社の商品が置いてある倉庫で、原因不明の火災が発生してしまいます。放火担当の捜査官のライに、保険金目当ての放火の容疑者として扱われたことに憤りを感じる彼女ですが、強引に口説いてくる彼と食事をすることになってしまいます。ですが、再び彼女の周りで不審火が発生し、身近にいる何者かが放火に関わっている可能性が出てきます。

 "NIGHT TALES"シリーズの第4弾。
 シリーズの各作品のつながりというのはいわゆるスピン・オフ関係であり、第1作で登場した刑事が本作の主人公の兄であったり、都合よく現れる2作目の「謎の正義の味方」の活躍で笑ったりとしていますので、既刊作品を読んでいる方が望ましい部分はあるかもしれません。
 不審火の事件の真相に関しては、おおよその予想の範囲内ではありますが、特に大きな破綻もなく、登場人物の配置や物語の運びも無理なくおさめたという印象。
 事件の真相へ結び付く伏線の不足感は否めない部分もありますが、起伏に富んだ事件の展開も、主人公らの恋物語も終始テンポも良く、リーダビリティの高さは確保されていると言えるでしょう。