かつて出土した絵文書とともに発掘チームのリーダーだった男が行方をくらますという事件によって、発掘は中止、遺跡は閉鎖されていたマヤのトラロック遺跡での再調査がようやく許可されたという報せが、形質人類学者のギデオン・オリヴァーのもとに舞い込みます。以前の発掘の際にも参加していたギデオン・オリヴァーが招かれたこの再調査で、新たに出土した絵文書に、遺跡の発掘をする者には呪いが振りかかるというような文言が記されていました。遺跡を立ち去らなければ殺すという脅迫状、暗闇での襲撃、そして殺人。呪いが現実になったかのような事件の背景には、前回の調査での事件が絡んでいるのではないかと、ギデオンの妻のジェリーは言いますが…。
『古い骨』に続くスケルトン探偵のシリーズ。
本作ではマヤの古代遺跡を舞台に、遺跡の呪いと言わんばかりの事件がギデオン・オリヴァーに振りかかってきます。ですが、当初から「呪い」の正体が人間の所業であることが明確に打ち出されていること、過去の事件との絡みが若干あからさまであることが、謎の度合いを浅くしてしまっている点は残念と言えば残念。
またフーダニットに関して言えば、中盤までにその伏線はきっちりと示されるものの、その伏線に繋がる部分が明かされるのがやや遅めで、ギデオン・オリヴァーのスケルトン探偵としての活躍もさほど多くはなく、その分「仲間の誰に狙われているのか」「何故狙われるのか」というサスペンス要素の比重が高い作品となっていると言えるでしょう。