少女を殺しその姿を写真に収めることに欲求を抱くカメラマンは、かつて彼が死体を遺棄したその場所で、森野と名乗るセーラー服の少女に出会います。少女の死体が横たわったその場所での「記念撮影」を求める森野の、死体となった姿を写真に収めたいという欲求が、次第にカメラマンの男の中で高まりますが…。
GOTHの映画化のキャンペーンの一貫で刊行されたと思わしき番外編+写真集という体裁の1冊。
「ああこういう話だったな」という、番外編は『GOTH』の世界の空気感を呼び起こすものとなっているだけに、この一編だけしか読めないという部分での食い足りなさを感じさせられた気がします。
死に魅せられる森野と少女の死体を撮ることに憑かれたカメラマンの男の駆け引きともいえぬ駆け引き、そしてその背後にいる森野の「友人」の本編主人公の存在感など、もう少し読みたいという欲求を煽られます。そういった意味では、映画のタイミングに合わせた刊行の意図を十分に果たしている1冊となっていると言えるでしょう。
写真集の部分に関しては、番外編に沿ったものとなっていて、『GOTH』の作品世界と森野夜という少女の存在感を視覚的に示すことには成功していますが、本作の「企画」のための性質であるがゆえに、作品を読み返すのと同様に何度も見ようという気になるかどうかはまた別問題という気もします。