J・B・スタンリー 『ダイエットクラブ2 アイスクリームの受難』

アイスクリームの受難 (ダイエット・クラブ2) (ランダムハウス講談社文庫)
 一度はダイエットに成功しつつあったデブ・ファイブのメンバーですが、いつの間にかその成果の報告は誰もしなくなり、再びスナックやキャンディへの欲望に言い訳をしながら身を委ねるようになっています。そんな折に町には、アイスクリーム屋を開店したウィリーと、ダイエット教室を開業したヴェロニカの二人が新たな住人としてやって来ます。デブ・ファイブの他の仲間に誘われてヴェロニカの教室に参加することになったジェイムズは、どうもヴェロニカという人物に好意を持てずにいますが、そんな中で彼女の秘密を知っているようなことを仄めかした住人の一人が不審死を遂げます。

 前作のダイエット成功から半年、見事にリバンドの道を辿る主人公たちの言い訳やら再びダイエットに取り組む様、そしてダイエットの敵になる食べ物を目の敵にするヴェロニカとアイスクリーム屋のウィリーとの熾烈な戦いなど、本作もコミカルで楽しめます。
 町の人々のキャラクターも好感が持てるもので、コージーミステリとしての味わいも、2作目になってまた一層深まってきていると言えるでしょう。
 事件そのものは終盤でどこか呆気なさすら感じてしまう部分も無きに非ずですが、食の欲求と戦いながら、そして大嫌いであるはずの運動をさせられながらという途中経過が何とも微笑ましくおかしさに満ちているのが、本シリーズの大きな魅力。その意味では、本作もまた楽しめました。