J・B・スタンリー 『料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3』

料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3 (RHブックス・プラス)

 これまでのダイエットの成果が現れてきているデブ・ファイブのメンバーたちですが、単調なダイエット生活に飽きてきてしまいます。そこで、週に一度は節制を解禁し、料理教室に通うことになります。ですが、保安官代理になるための試験を前に、仲間たちと距離が出来るルーシーとジェイムズの関係は上手くいかず、高校の校外実習の付き添いを頼まれて参加すれば、実習中に殺人事件まで起こってしまいます。

 これまでは挫折しそうになりながらも、ひたすらダイエットに励み、事件に当たっては一丸となるメンバーをユーモアたっぷりに描いてきたシリーズは、本作でちょっとした転換点を迎えたといえるでしょう。
 ある程度成果を見せ、少しずつ食べる楽しみを自分に許しながらのゆるやかなダイエットに変わると共に、ルーシーとジェイムズの関係は思わぬ方向へと変わり、彼ら五人のダイエット仲間以外にも新たな仲間が加わる様子を物語は見せています。
 重要な登場人物に双子の姉妹を用いる意味はさほどなかった印象も受けますが、事件とダイエット、そして主要登場人物間の人間関係が、上手い具合に絡み合った一作となっていると言えるでしょう。