J・B・スタンリー 『バーベキューは命がけ ダイエット・クラブ4』

バーベキューは命がけ ダイエット・クラブ4 (RHブックス・プラス)
 近隣の町で開催されるバーベキューコンテストの催しに、審査員として招待されたジェイムズらデブ・ファイブのメンバー五人は、そこでコンテストの優勝候補として有力ではあるものの、周囲の人間の癇に障るジミー・ラングという男に出会います。そしていよいよコンテストが開催される中、起こった殺人事件の現場には、取り乱したデブ・ファイブのメンバーの一人であるジリアンの姿がありました。警察に拘留され容疑をかけられながらも、ショックを受けて何も話そうとしないジリアンを助けるため、仲間たちは事件の真相を探ろうと立ち上がります。

 シリーズも4作目になったタイミングだからこその、メインの登場人物たちそれぞれの変化や、その過去への掘り下げというものがなされた一冊。
 4作目に当たる本作でも、愛すべき登場人物たちのユーモラスさは健在ですが、それに加えて前作辺りから彼らの中にある複雑な心の揺れ動きなどへの言及の度合いも増え、シリーズ作品としての一層の充実が図られていると言えます。
 また、殺人事件の犯人は誰かというフーダニットそのものへの伏線という面では、取り立てて大きなサプライズをもたらされるような鮮やかさはみられないものの、離れた場所で起こっている別の事件への結び付けの処理を、強引さを感じさせることなく上手く行っていると言えるでしょう。
 前作では敢えてやや苦さを残す結末としたこのシリーズですが、本作では様々なことが収まるべきところに収まる、読後感の良い一作となっています。