三津田信三 『七人の鬼ごっこ』

七人の鬼ごっこ
 一週間、毎日かつての友人たちに電話をかけ続け、相手が出なかったら自殺する――けれども七人も友達がいなくて、いのちの電話にかけてきたのだという男の電話を、オペレーターの中年女性は取ることになります。この電話をきっかけに、子どもの頃に瓢箪山で遊んだ仲間たちが一人、また一人と死んでいくことになります。
 1本の電話をきっかけに、幼い頃の遊び仲間が次々と殺されていく、謎は幼い頃に封じた記憶の中に…という枠組みが生かされている作品。
 事件が進んでいき、自分たちの過去に何か鍵があるのではないかと思い始めた主人公が、子どもの頃に瓢箪山で遊んだ記憶の中に欠落があることを徐々に気付き始め…という、ある意味定番ともいえる流れで本作は展開しますが、話の運びの上手さと、得体の知れない恐怖の演出をして怪異の存在を濃密に感じさせる空気を描くことで、三津田作品らしいミステリに仕上がっていると言えるでしょう。
 今回はホラー要素は少なめですが、解明されな部分が実に上手く残されていることと、薄気味の悪さを感じさせる子ども時代の記憶などが繰り返し挿入されることで、しっかりと著者ならではの雰囲気も生かされています。従来のシリーズとの微かなリンクも楽しめました。