美奈川護 『超特急便ガール!!』

超特急便ガール!! (メディアワークス文庫 み 3-2)
 いざこざで大手商社を辞めて、バイク便の「ユーサービス」で、自らの足でもって荷物を届ける「ハンドキャリー」を担当する陶子ですが、消えると思っていた特殊能力はいまだ彼女と荷物をあちこちに飛ばします。陶子がそんな毎日にも慣れてきた頃、ユーサービスに新たな仲間が増えることになります。

 前作の終わりで続編も可能だとは思っていたらやはり出た1冊。
 本作においては、ユーサービスに新たに採用されたジョーの存在により、ユーサービスの誕生からそこにいて、かつての悲しい事件を経験した者たちと、それを経験していない陶子とジョーの新参者という構図が、最終話で生きてきます。
 同時に、自分にとって仕事とは何か、何をもって仕事を選ぶのかという問題を突きつけられる主人公の陶子ですが、本作が出すその答えには力強い説得力が感じられます。この続編において主人公は悩みながらも自分の立ち位置を自覚し、また仲間たちは過去との一応の決着をつけたことになります。
 疾走感に満ちたシリーズ連作短編集として、前作以上にリーダビリティとアピール力を持った一作となっていると言えるでしょう。