Evanescence "Evanescence" (2011)

エヴァネッセンス
 アメリカ産へヴィロック、エヴァネッセンス5年ぶりの3thアルバム。
 前作からギター・ドラム・ベースと、Vo.エイミー以外はほとんどすべてと言って良いメンバーの交替がなされていますが、にもかかわらず出来上がったアルバムは、まさに「エヴァネッセンスとして期待される内容」のものであったと言えるでしょう。
 1stアルバムの"FALLEN"では、正直なところまだアルバムの収録曲ごとに出来の差があったように思いますが、本作に至るとその辺りはかなりアルバム全体の底上げというかレベルアップが果たされています。そしてその"FALLEN"からのシングルカットで爆発的なブレイクを果たした"Bring Me To Life"で、既に高い完成度を見せつけていたシンフォニックの素晴らしさや、エイミーのVo.の持つ力も、セルフタイトルを冠したこの3thアルバムでより一層磨きがかかり、壮大でドラマティックな音を聴かせてくれるものになっています。
 ある意味、メジャー・デビューを果たした当時から既に確立していたこのグループの魅力を、上手く抽出してさらに煮詰めることで出来上がったアルバムが、この3枚目の"Evanescence"だと言えるでしょう。
 Vo.のエイミー・リーは「新作はバンド主体のサウンド」と語っているものの、メンバーがこれだけ入れ換わったエヴァネッセンスが、どこまでも「エヴァネッセンスらしい」と感じるアルバムを出してきたという部分では、良くも悪くもこのバンドがどこまでも「エイミー・リーのバンド」としての個性を持っているのだという気もします。
 とはいえ、エイミーのヴォーカルに含まれる豊かな表現力の他にも、それを支える演奏のレベルがグッと上がったのは確かで、本作が広く聴かれるアルバムとして仕上がっているのは疑いのないことでしょう。