過去にわけありの4人の少女たちが女主人を務める古城ホテルマルグリット。今回客としてやってきたのは、大陸で有数の豪商の娘で、結婚したものの、彼女は相手の男性との離婚を望んでいました。こんなことまでがホテルの女主人の仕事なのかと悩みつつも、宿泊客の望みであれば出来るだけのことをしなければならないという信念のもと、4人は追ってきた夫である船乗りと彼女の間でこの件を見事におさめます。ですがこの一件の余波で後日になって、4人の女主人のうちの一人、亡国の王女リ・ルゥが国の再興のために、女主人を辞めてマルグリットを去ると言い出しますが…。
シリーズ4冊目。これまでの順番から予想出来た通り、4人の中で最も重い過去を背負った「姫様」リ・ルゥの過去が絡んだ一作。
前作までと同様に、児童向けという枠組みで無理に収める必要性は薄い気がするほど、きちんとライトノベルとしてのエンタメ性を持った枠組みが評価できる一方で、無理矢理にレーベルの枠内に収める話づくりをしたために、物語が予定調和のうちに綺麗におさまり過ぎてしまったような印象も否めません。また、リ・ルゥの過去や背景はもう少し突っ込んでじっくりと描けば、それだけでも十二分に読み応えのある物語になったような気がするだけに、やや勿体ない感じもします。
これで一応物語は一巡したようですが、自らの過去とのけりをつけた4人の今後を描いた続編が更にあっても面白いように思います。