戸梶圭太 『おじいちゃんもう一度最期の戦い』

おじいちゃんもう一度最期の戦い (NMG文庫)
 父親がツイッターに暴言を投稿したことでそれまでの会社を首になり、西東京にある荒廃しきった団地へと直人も引越しをすることになります。社会の最底辺の住人ばかりが住むその団地には、何年も顔を合わせたことも無かった、破天荒なギター職人の祖父が住んでいました。得体のしれない放尿魔と一緒に子供に会わせろと押しかける離婚した夫に悩まされる子持ちのエジプト美人を助け、直人の睡眠を妨げる迷惑な巨体のチャットレディを魔術で懲らしめ、懲りずにツイッターで毒を吐き続ける直人の父(そしておじいちゃんの息子)に制裁を加え、双頭の蛇を撃退して水槽系女子を救うべく、鬱病で時折どん底まで「落ちる」ことがあるマリファナ中毒のおじいちゃんが戦いを挑みます。

 著者初のラノベということですが、蓋を開けてみれば終始一貫して著者らしい醜悪さとバイオレンスと狂気とファンタジーに溢れた異色作。敢えてライトノベルから出す(あるいはライトノベルと銘打って売り出す)必要があったのか?という点には疑問がないわけでもありませんが、帯の裏側にあるように「予測不能の内容・ラインナップ」という要件は、この1冊が加わるだけで十分過ぎるほどに果たせるのも事実でしょう。
 良くも悪くも強烈過ぎるエログロバイオレンスに満ちている怪作。