元 Within Temptetion のマタイン・ウェスターホルトを中心に結成されたオランダのシンフォニック/ゴシックの通算4枚目となるフル・アルバム。
最初はプロジェクト・バンド的な色彩でしたが、2作目からは完全にVo.シャルロット嬢をフロントに据えた継続的な活動を続けるバンドとして個性を確立しはじめたと言えるでしょう。キャッチ―で耳馴染の良いメロディラインにのせて強いメッセージを打ち出すバンドとして、Delainは3枚目のアルバムである前作"We Are the Others"で一定の成果と言えるところに到達しています。
今回の"THE HUMAN CONTRADICTION"も、前作の延長上にあり、これまでの路線を踏襲しつつ、さらにメンバー個人の技量や各楽曲の完成度は高くなっています。
反面、アルバムとして総合的にクオリティが上がった一方で、突出したものがない、いわゆるキラー・チューンがあるかと言われるとやや弱いかなという印象。1曲1曲の完成度が高いだけに、その辺りは損しているのかなという気はします。
勿論、それぞれの楽曲を個別に聴けば、この4枚目のアルバムには魅力ある曲が多いです。それだけに、「このアルバムでこの1曲」を提示しろと言われたら、(決して悪い意味ではないですが)これまでのアルバムよりも好みは割れる可能性は高いのではないでしょうか。個人的に#3のSTARDUSTなどは、聴けば聴くほど扇情的でシャルロット嬢のVo.の魅力が存分に発揮できている名曲でした。
ゲストVo.にはこれまでにもDelainのアルバムには度々参加しているNightwishのマルコ・ヒタエラや、1st以来の参加になるオランダのドゥーム・メタルバンドOrphanageのジョージ・オーストエックに加え、The Agonist からArch Enemy に移籍したクリーン/デスともに秀逸な女性ヴォーカリストのアリッサ・ホワイト・グラズが参加しています。
また、日本盤のボーナストラックは、2曲のアルバム未収録曲と、2013年に行われたライブで収録された5曲となっています。