病気で入院した親友の代わりに、野球部のマネージャーをすることになったみなみ。彼女が、野球部のマネージャーとは何をすれば良いのかを求め、手に取った本はドラッガーの『マネジメント』でした。やる気のない部員、監督と選手の間の不協和音、部内で上手くいかない人間関係などの様々な問題に、みなみはドラッガーの『マネジメント』を頼りに、人を生かし目標に向かって進んでいくための管理を試みます。
数年前に話題になった本ですが、これまで未読でした。ドラッガーの『マネジメント』は、ところどころ抜き読み程度はしていましたが、もう一度ちゃんと読んでみたいという気にさせられる1冊です。
小説として、あまりにもご都合主義な展開や、登場人物の心理への踏み込みの浅さやリアリティ不十分さという面では瑕疵が無いとは言えないものの、ドラッガーの『マネジメント』を、単なる経営学のテキスト、あるいは企業経営の実務書や経営哲学書としてだけではなく、人間関係の中で人を生かし、組織を良い方向へと導くための道標として広く認知させたという意味では、本書の功績は大きいでしょう。
ドラッガーの『マネジメント』自体、すでに書かれてから40年ほどが経過していることになりますが、そこに書かれていることは驚くほどに今の時代においても普遍性を持ち、「こうあるべき」という道を示してくれるものと言えるでしょう。だからこそ、それをライトノベル調の物語に仕立て、『マネジメント』が汎用性のある思想であることを示した本書の面白さがあるのかもしれません。