Nightwish "Endless Forms Most Beautiful" (2015) 

エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル(デラックス・エディション)(DVD付)
2代目Vo.アネッテ脱退後、3代目Vo.として就任したのが、2008年に解散したオランダのゴシックメタル・バンド、After Foreverでパワフルなヴォーカルを聞かせてくれていたフロール・ヤンセン。そんな彼女が、ツアーのサポートメンバーとしては、2013年にナイトウィッシュに合流してましたが、正式メンバーに採用されたというニュースを目にして以来、待っていましたという本アルバム。そんなわけで制作が始まる前から。非常に期待値の高かった1枚です。
結論から言えば、フロールのVo.は抑え目なのかな?という印象もありますが、アルバムのコンセプトを優先してそのような形になったのでしょう。その意味では、After Forever時代以上にヴォーカルとしての技量が上がっているとも言えるのかもしれません。
アルバムは、イギリスの進化生物学者であるリチャード・ドーキンスのナレーションで語られる、ダーウィンの進化論の一節から幕を開けます。進化論以来対立の構図を見せてきた、自然科学と宗教とは共存しうるのだというコンセプトの元、壮大な世界観をもって制作されたアルバムは、ややコンセプトが勝ち過ぎていて、いわゆるコンセプトアルバムが陥りがちな難解さは否定できません。ですが、まるで交響曲のような構成で、ラストの24分を超える"The gratest show on the Earth"という1曲など、このバンドでなければあり得であろう試みが結実した1枚であるのは事実かもしれません。壮大過ぎるほどに壮大で難解なテーマを、キッチリひとつの形に表してくれる辺りは、やはりさすがNightwishといったところでしょうか。