Apocalyptica "SHADOWMAKER"(2015)

シャドウメイカー
 チェロ×3、ドラム×1のフィンランドの4人組のメタルバンドの8枚目のアルバム。今回は1人のヴォーカリストを軸にアルバムを作ったようで、このバンドらしさはやや薄い?という印象。嫌いじゃないんですけどね…。
 楽曲そのものは、ワーグナー生誕200周年を記念して書き下ろした2013年のドイツのライプチヒで2日間に渡って披露された公演を経たからこそ…という、本来の彼らのクラシックと現代音楽の模索という部分への回帰や、そのエッセンスは随所に感じられるものの、本アルバム全曲通しで聴くと、1stシングルのCold Blood以外では、あまりコレという強烈に惹きつけられるものがないなぁとも思ってしまう部分はあります。
 チェロという楽器の可能性を広げてメタルシーンで唯一無二と言えるポジションを確立してきた彼らにだからこそ、期待値は高くなってしまうし、メタル的なある種の分かりやすさというものを求めると、いかに全ての楽曲の完成度が高くて、聴き込めば良さがじわじわ来るとは言っても、一聴して惹き付ける要素が弱いというのは4年半ほど待ったアルバムとしては…うーん。
 これまでのように、毎回何人かのゲスト・アーティストを起用しつつも、基本はヴォーカルは「客演」であって、バンドの中心ではなかったというスタンスをやめて、一人のゲストVo.中心に据えてアルバムを作るとこうなるのね、みたいな。