J・D・ロブ 『冷笑は祝祭の影で イヴ&ローク40』

冷笑は祝祭の影で イヴ&ローク40 (ヴィレッジブックス)

 クリスマス直前のニューヨークで、有名フィットネスクラブのトレーナーの男性が殺害されて、彼の自宅で変わり果てた姿で発見されます。女性に対しては不誠実で、さらには裏で個人的に顧客と関係を持って金銭を得ていたこの男を殺したのは誰なのか。

 ここ数作のなかでは珍しく、犯人の異常性や狡猾さが突出していることはない一作ですが、それだけに人間の欲望や卑小さといった部分を掘り下げているとも言える作品。事件の真相を明らかにするために、被害者や容疑者の心理を暴いていく過程が丁寧に描かれています。