三津田信三 『八獄の界 死相学探偵6』

八獄の界 死相学探偵6 (角川ホラー文庫)

 警視庁の依頼を受け、呪術で人の殺意を操る<黒術師>が主催したミステリーツアーに潜入捜査した弦矢俊一郎。バスに乗り、敵陣に乗り込んだ俊一郎は、果たして無事に生還できるのか。そして死相を視る自信の能力を使ってツアー参加者を死視したところ、運転手含め全員に死相が出ていました。

 死が迫っている人間に死相を見る能力を持った「死相学探偵」弦矢俊一郎のシリーズ6作目。
 外界との連絡手段を断たれ、結界の中に閉じ込められたツアー参加者一行の中に殺人者はいるのかという、かなり特殊なクローズド・サークルもの。
 今回はミステリよりもオカルト寄りですが、ホラー映画への造詣の深い著者の一面が生かされた一作とも言え、「ミスト」などのホラー映画の知識があれば一層楽しめる作品となっていると言えるでしょう。
 その中でも限られた人間しか知らない情報を内通したのは誰なのか、霧の中での<殺人>の犯人は誰なのかといったフーダニットの面では、きっちりとしたロジックが見られるのはさすがと言ったところ。やや、内通者に関しては、(良い意味で)反則気味ギリギリなところもありますが・・・(笑)