J・D・ロブ 『孤独な崇拝者 イヴ&ローク41』

孤独な崇拝者 イヴ&ローク41 (ヴィレッジブックス)

 「この女はあなたをないがしろにして、悪口を言った。」と、かつてニューヨーク市警の警部補であるイヴとやりあったことのある女性弁護士が、舌を切られた遺体で発見されます。犯行現場に残された犯人からのメッセージには、イヴに対する異様な執着と妄信が記されていました。

 ある種のストーカー犯罪にも似た犯行は、徐々に妄想がエスカレートし、やがてはイヴの周囲や自分に応えてくれない彼女自身への敵意へと変わって行きます。本作ではそうしたプロセスを過不足なく描いており、緊張感を持った展開を楽しめます。結末近くには、犯人がすぐ間近まで迫ってくる緊迫感もあり、また犯人の異常な心理の説得力もある、読み応えのある一作になっていると言えるでしょう。
 シリーズ40作を超えてなお、中だるみすることの無い面白さがあります。