J・D・ロブ 『狩人の羅針盤 イヴ&ローク44』

狩人の羅針盤 イヴ&ローク44 (ヴィレッジブックス)
セントラルパークのスケート場で、突然の狙撃事件が起こります。犯人はかなりの遠距離からの正確な狙撃をしたと見られ、しかもこの犯行がまだ続くことを事件を担当することになったイヴは予感します。夫のロークの協力もあり、狙撃場所を突き止めたイヴは、幸運にも犯人の似顔絵を作成することが叶いますが、その似顔絵から浮かび上がってきた二人の人物の身許は、警察関係者にとってただならぬものでした。

殺人の技に魅せられた弟子と指導者の、冷酷で歪んだ姿が徐々に明らかになる過程が緊迫感をもって描かれるシリーズ44作目。無差別なのかそうでないのか、被害者と犯人を繋ぐ糸も、犯人の歪んだ心が顕わになるに従い、必然性を帯びたものになります。
上質なサスペンス作品として楽しめた1作。