J・D・ロブ 『凍てつく夜の戯曲 イヴ&ローク45』

凍てつく夜の戯曲 イヴ&ローク45 (ヴィレッジブックス)
夫のロークとともに慈善パーティーからの帰宅途中、NY市警本部の警部補であるイヴは血まみれで全裸の女性を路上で保護します。そして身元が判明した女性の家では、彼女の夫が死体で発見されました。「悪魔に襲われた」と言う女性の証言などから、犯人は怪物に扮して窃盗と暴行、そして殺人を行ったことがわかりますが…。

シリーズ45作目となる本作では、これまでは捜査によって少しずつ浮かび上がる犯人のプロファイルの結果真実と犯人逮捕へ結びつくというスタイルを超え、被害者自身へのプロファイリングの要素も大きかったと言えるでしょう。
一方で、殺人事件そのものやイヴたちの追う犯人の存在の比重はもうひとつ物足りない感じもありますし、もっと突っ込んで描いても面白かったような気もしますが、被害者のプロファイリングと主人公であるイヴ自身の過去や内面とのオーバーラップが描かれていて、シリーズ読者にはこれまでの物語の積み重ねがあるからこその一作ともなっているように思います。