アガサ・クリスティ 『邪悪の家』

 最初のうちは怪しいなと思っていたものの、その後の展開で割と無意識のうちに犯人の圏外に入れてしまっていた人物が犯人というあたり、やっぱりストーリーテリングの上手さなんでしょうねぇ。特に犯人を指摘するに至った記述のこと、成る程盲点でした。
 ポワロの過去の失敗談とこの事件の展開が上手い具合に絡んでいる部分とかも好きです。

 作中で触れられている『青列車の秘密』や『アクロイド殺し』もまた読みたくなってしまいますね。
 そう言えばアクロイドというとどうも「ポワロの引退生活の中での事件」というイメージが強いので、作品の位置付け的にシリーズの終わりの方のイメージとか昔からあったのですが、実はそうでもないんですね。ポワロものとしては1926年と、かなり初期に書かれているわけですし。