2011-01-01から1年間の記事一覧

2011年読了冊数:85 積読:?

15冊一気にまとめる羽目になったため、メモ書き程度の感想のものもそのままです。 どう足掻いても今年はこれで打ち止め、年々読書量減少の傾向が明らかではありますが、来年は頑張ります(と、最近毎年この時期に思っているような)。

 東川篤哉『謎解きはディナーのあとで 2』

大きなセールスポイントとなっているだろう、お嬢様と毒舌執事との掛け合いは、ブームに乗ったことで変に洗練されたわけでもなく、良い意味でこれまで同様にグダグダのままだった事に逆に安心。 安楽椅子探偵たる執事に提示される解答は、それが唯一の答えか…

 畠中恵 『ころころろ』

病弱で知られる若だんなが、どうやら今度は神様が関わって失明するという災難にまつわる顛末の1冊。神様と妖、人間とのそれぞれの立ち位置が、最終話の問答の末に、ほんの少しの切なさも交えて描かれます。

 畠中恵『こいしり』

名主の跡取り息子の麻太郎が主人公の物語のシリーズ2冊目。胸のうちに秘めた思いを残しつつも、互いのタイミングのすれ違う切なさが、主人公に持ち込まれる事件の顛末に見え隠れする面白さが益々冴えます。「百物語の後」の、謎と怪奇の配分の良さも秀逸。

 畠中恵『まんまこと』

名主の跡取り息子の麻太郎は、あるときを境に何故か周りから心配されるほどの「お気楽もの」になってしまって今に至ります。一つ一つの事件とオーバーラップしながら、麻太郎の真実が明らかにされるにつれ、じわじわと切なさが効いてくるストーリーテリング…

 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常』

時計仕掛けのオレンジ、司馬遼太郎、藤子不二雄など、本にまつわる薀蓄の面白さが安楽椅子探偵物の楽しみをさらに深めてくれる作品。 シリーズ2作目となる本作では、栞子さんの秘密が描かれることとなっており、描かれた本そのものへの興味とともに、今後の…

 ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール 上下』

ライムシリーズのスピンオフ、人間嘘発見器キャサリン・ダンスのシリーズ。急展開に次ぐ急展開、どんでん返しの連続の面白さは勿論、犯罪者を魅力的に描く著者だからこその作品と言えるかもしれません。

 海堂尊『極北ラプソディ』

前作である『極北クレイマー』は勿論、シリーズ主流の最新作から過去編、『ナニワ・モンスター』に至るまでの全ての流れが繋がってきています。既刊作品で登場した人物たちの変化や葛藤とともに、厳しい地域医療の最前線が著者の明確な問題意識のもとに描か…

 島田荘司『リベルタスの寓話』

旧ユーゴでの、残虐性に満ちた民族紛争による、人間の救いのない面を描いた作品。リベルタスの寓話から展開される怪奇性すら伴う謎は猟奇的で怪奇性に満ちていますが、落とし所にはやや肩透かし。東京での事件は独立した短編とした方がすっきりした気もしま…

 峰月皓 『カエルの子は』

夢を失って遊園地でカエルの着ぐるみを着るバイトを続ける主人公が、ある日「父ちゃん」と呼ばれ、身元不明の子どもを引き取ることになる物語。予定調和の範囲内といえばその通りですが、それは「王道」ならではの物語の面白さや力を持っているという部分の…

 近藤史恵『モップの精は深夜に現れる』

シリーズ2作目。清掃の仕事をするキリコが解き明かす、様々な人間模様。彼女の素直な視点を経ると、事件と同時に人間の問題もあるべき方向を見出します。 前作同様、キリコ自身も抱える大きな葛藤も最後の一編に描かれ、そのことでそれまでは「キャラクター…

 夏川草介『神様のカルテ』

いわゆる医療現場からの問題提起的なアプローチではなく、あくまでも生と死がたまに訪れる場所で働く主人公視点で、どこまでも「人間を描いた」作品。「良い話」過ぎると感じないのは、主人公の独特の視点と語り口調ゆえかもしれません。

 大沼紀子『真夜中のパン屋さん』

カッコウのように子どもを他所に預けて育てさせる母親を持ち、その母が原因で学校でいじめを受けている女子高生の希実は、真夜中に営業しているパン屋の暮林のところに預けられることになります。家庭に問題がありそうな少年、わけありのオカマ、変質者のよ…

 J B スタンリー『とんでもないパティシエ ダイエット・クラブ5』

父親の再婚が近付き、結婚式の準備や自身の引越し、友人のクイズ番組への出演、さらには一時期は恋人だった女性が書いた、自分たちを愚弄するような本の出版が迫って色々と頭の痛いことの多いジェイムズ。そんな彼が迎えに行った父親の再婚相手の女性の妹は…

 北森鴻『邪馬台―蓮丈那智フィールドファイル4』

民俗学者の蓮丈那智のもとに、骨董商の雅蘭堂の越名の手を経てとある古文書が舞い込みます。阿久仁村という、ある時期を境に突然地図から消え、忘れ去られた村の言い伝えや出来事を記したと思われるこの文書から、那智は助手の三國とともに、突然消えた村の…

2011年読了冊数:70 積読:?

結構読み終えた本も買った本も溜まっているので、積読冊数のカウントはまた(最近そんなのばっかり)。 とりあえず、クリスマス近かったので季節物だけはということで。

 コリン・ホルト・ソーヤー 『メリー殺しマス』

クリスマス・シーズンを迎えた高級老人ホーム<海の上のカムデン>で、子どもたちによる合唱団が訪れた際に、ロビーのクリスマス・ツリーのところで入居者の女性が死体で発見されます。捜査のためにカムデンを訪れたマーティネス警部補は、例によってアンジェ…

2011年読了冊数:69 積読:?

とりあえず読んでた本のメモ。 当然買ってる本はあるにはあるので、積読等はまたちゃんとカウントしなおします(最近そんなんばっかり 苦笑)。

 近藤史恵 『天使はモップを持って』

現代日本のオフィスという限られた空間を舞台にしたコージー・ミステリ。 清掃員という立場ならではの着眼点が生かされた一作。様々な問題が、掃除という行為を通じて浮き彫りになるのが何とも面白いです。

 鳥飼否宇『物の怪』

河童、天狗、鬼といったものを題材に、それらの正体と事件の謎を読み解くミステリ中編集。 民俗学的な側面での落とし方の上手さも勿論、事件を解決した後に恐ろしいほどの闇が広がるそれぞれの結末が秀逸です。

 嶋戸悠祐『キョウダイ』

第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。ある程度読みなれた読者なら仕掛けにはすぐに気付くでしょうが、ホラー的な空気と序盤から作品世界を支配する不安感が秀逸。ホラーとミステリの融合に加え、主人公の心情の描き方の良さで、独特の叙情感のあ…

 2011.11.17-19 台北

ちらっと二泊三日で旅行に行ってました。 日本を出る時は寒くなるというので、残していくメダカが心配だった(まだ冬の引越しが終わっていない)わけですが、飛行機を降りた先は非常に蒸し暑かったです。 一応観光のメインは夜の九イ分。 よく知らずに行った…

お久しぶりです。

気が付いたら随分と潜伏気味でしたが、その間もチラホラ、程度には本は読んでいます。 時間が経って感想をまとめるのが億劫になっているので、その辺りはメモ程度にでもまた次回ということで。

2011年読了冊数:66 積読:9

 "Amaranthe" Amaranthe (2011)

女性Vo.、男性クリーンVo.、男性デスVo.の3人のヴォーカリストに、ギター(+Key)、ベース、ドラムの6人編成のスウェーデン産バンド、アマランスのデビューアルバム。 それぞれ性質の違う3人のヴォーカリストの使い方やパートの配置などのバランスが抜群…

 ナンシー・アサートン 『ディミティおばさまと村の探偵 優しい幽霊6』

アメリカへ行って留守にしている間、フィンチの村では3ヶ月前に越してきたばかりの老女が殺されるという事件が起こっていたことをロリは知ります。その殺人の嫌疑が、大事な友人のキットに降りかかってきたことを知ったロリは、憤慨しながら牧師の甥のニコ…

2011年読了冊数:65 積読:10

きちんと随時カウントしていなかったので、読書メーターと照合して現在の積読本を整理しておきます。 とりあえず9月は13冊読了。ナンシー・アサートン 『ディミティおばさまと村の探偵 優しい幽霊6』 RHブックス・プラス J・B・スタンリー 『ダイエット・ク…

 初野晴 『初恋ソムリエ』

事件を解決するにつれてハルチカら吹奏楽部に関わる登場人物たちも増え、漠然とした目標だった「普門館」への具体的な道筋が示され始めた第2作。 ライトな掛け合いをする主人公たちのキャラクターに救われているとはいえ、各編で暴かれるものには苦さを含み…

 美奈川護 『超特急便ガール!!』

いざこざで大手商社を辞めて、バイク便の「ユーサービス」で、自らの足でもって荷物を届ける「ハンドキャリー」を担当する陶子ですが、消えると思っていた特殊能力はいまだ彼女と荷物をあちこちに飛ばします。陶子がそんな毎日にも慣れてきた頃、ユーサービ…

 望月守宮 『無貌伝 〜綺譚会の惨劇〜』

ヒトデナシと呼ばれる怪の無貌に顔を奪われた探偵の秋津の下で働く古村望は、秋津と並ぶ三探偵の一人である御堂八雲の主催する「綺譚会」に招待されます。そこで語られるのは、かつて秋津の助手であった相原が遭遇した足跡のない殺人現場の謎の物語を皮切り…