読了

 J・D・ロブ 『凍てつく夜の戯曲 イヴ&ローク45』

夫のロークとともに慈善パーティーからの帰宅途中、NY市警本部の警部補であるイヴは血まみれで全裸の女性を路上で保護します。そして身元が判明した女性の家では、彼女の夫が死体で発見されました。「悪魔に襲われた」と言う女性の証言などから、犯人は怪物…

 三津田信三 『碆霊の如き祀るもの』

断崖絶壁の海辺と背後は山という、貧しい村に伝わる4つの怪談。海の中に浮かび少年を追いかけてくる生首のような何か、物見櫓で迷走する僧侶を襲う怪異、竹林の迷路に迷い込んだ女性を襲うひだる神のような何か、村へと続く山道で次々に襲ってくるもの。これ…

 堀川アサコ 『おもてなし時空ホテル 桜井千鶴のお客様相談ノート』

ひょんなことから友人が面接を受けようと思っていたホテルへと付き添いでやってきた千鶴。彼女は、亡くなったはずの老婦人があるパーティへ潜入して事件を起こそうとしているという事件に巻き込まれ、このホテルで働くことになります。ですがこのホテルは普…

  西條奈加 『秋葉原先留交番ゆうれい付き』

イケメンだが女好きで何度も失敗している霊感持ちの警察官の向谷に連れられ、足だけの幽霊になってしまった季穂は秋葉原の先留交番へとやってくることになります。そしてオタクが高じて秋葉の交番に住みつくように勤務している権田と引合され、向谷と権田は…

  阿部智里 『烏は主を選ばない』

八咫烏の一族の頂点に立つ宗家。ですが実情は、四家が実権を握り、宗家の権威は大きく削がれていました。北家の下にある垂氷郷の郷長の次男の雪哉は、ひょんなことで日嗣の御子の若宮に仕えることになります。若宮に引き合わされるなり、若宮に仕える者が異…

  阿部智里 『烏に単は似合わない』

宗家とそれを支える四家が支配する世界。その宗家の次代である若宮の后候補として四家の姫君が集められ、若宮の寵を競う華やかな宮廷。そこに集まったのは、急遽姉の代わりに登宮した東家のあせび、冷たい美貌で誰よりも入内に執心する北家の白珠、姫君らし…

  恩田陸 『EPITAPH東京』

「東京」をモチーフにした『エピタフ東京』の戯曲を書こうとしている「筆者」と、「吸血鬼」だと名乗る吉屋。「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」という吉屋の言葉を聞き、将門の首塚をはじめとした幾つかのスポットを時に友人と共に辿る筆者の…

 吉永南央  『まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ』

紅雲町でコーヒー豆と和食器を扱う小さな店を営む老女の草は、他界した母親と20年ほど前に仲違いした鰻屋の清子との没交渉になったまま渡せずにいた母の形見の着物のことが気になっています。そんな中、事情があって山車を置いていた土地の持ち主がその土地…

 J・D・ロブ 『狩人の羅針盤 イヴ&ローク44』

セントラルパークのスケート場で、突然の狙撃事件が起こります。犯人はかなりの遠距離からの正確な狙撃をしたと見られ、しかもこの犯行がまだ続くことを事件を担当することになったイヴは予感します。夫のロークの協力もあり、狙撃場所を突き止めたイヴは、…

 宮部みゆき 『鳩笛草』

幼い頃に両親を事故で亡くし、その記憶すら失った女性。一緒に暮らしていた祖母の死を契機に、住んでいた家を処分することになります。その際に、封印されたかのようなビデオテープを見つけます。そこに映っていたのは頭が痛いと泣きながら、撮影の時点では…

 恩田陸 『小説以外』

タイトル通り、著者の「小説以外」のエッセイや文庫の解説等を集めた1冊。 そこには、「作家」としての書き手ではなく、私たち読者と同じ読書好きな一個人の姿を見ることが出来ます。 映画や音楽、過ごした土地を語るなかにも、常に著者の読書体験がバックボ…

 梨木香歩 『西の魔女が死んだ』

周囲に馴染めず学校に行けなくなってしまった少女まい。ゆったりと自然のサイクルの中で生活するおばあちゃんと暮らすことになった彼女の魔女の修行の日々。「扱いにくい子」という母親の言葉や周囲に馴染めずに萎縮していた少女が、「西の魔女」だというお…

 浅葉なつ 『神様の御用人』

亡くなった祖父がやっていたという、神様の御用を聞く「御用人」という役割を引き受けることになった良彦。 狐の姿をした方位神の黄金とともに、神様たちの願いを叶えるために頭を悩ませます。社会人野球の選手であったものの、怪我で野球も職も失った良彦が…

 上橋菜穂子 『鹿の王 1〜4』

強大な力をもってアカファを併合した東乎留に最後まで激しく抵抗した勢力の生き残りの男であるヴァン。奴隷となって岩塩鉱に送られた彼の前に、突然黒い獣が襲いかかります。そして彼が高熱から覚めると、一人の幼子を残し、全ての人が死に絶えていました。…

 ジェフリー・ディーヴァー 『限界点 上下』

連邦機関の公にはなっていない組織で、危険に晒されている人物を警護するコルティは、かつて自分の師であった人を拷問の末に殺害したと呼ばれ、苦痛をもって情報を引き出すヘンリー・ラヴィングに狙われているらしい、警官の一家の安全を図る任務につきます…

 ジェフリー・ディーヴァー 『ゴースト・スナイパー 上下』

ニューヨーク州の地方検事補のナンス・ローレスが、バハマで殺害された反米活動家の事件の調査の協力を、リンカーン・ライムに求めてきます。この事件の黒幕は政府機関であり、陰謀によって市民が殺害されたことを告発しようとするナンス・ローレルにライム…

 J・D・ロブ 『歪んだ絆の刻印 イヴ&ローク43 』

NY市警の精神分析医であるドクター・マイラの夫であるデニス・マイラは、祖父から相続した邸宅を売却しようとする従兄弟との話し合いをしようとその家に出向きます。ですがそこで見たのは、暴行を受ける彼の従兄弟の姿であり、デニス自身も何者かに殴られて…

 三津田信三 『魔邸』

作家だった父親を亡くし、母親の再婚で新しい父となった義父と中々馴染めない小学校6年の優真。ですが、義父の弟の叔父さんのことは大好きで、この叔父さんと夏休みを過ごすことになり優真は喜びます。かつて叔父さんが、神隠しにあった子どもを見つけたこと…

 嵯峨景子 『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』

かつて「少女小説」と呼ばれ、その分野の代表でもあった「コバルト文庫」をその前身である『小説ジュニア』時代からの歴史を総括し、同時に、「講談社ティーンズハート文庫」など近しいレーベルが乱立し、現在へと続くジャンルの変遷を纏めた1冊。かつて氷室…

 三津田信三 『わざと忌み家を建てて棲む』

陰惨な事件や死に彩られた、いわくつきの家。それらを集めてひとつの建物としてつくり、中にそれぞれの家に相応しい住人を迎えたらどうなるのか。そんな歪んだ思いから作られた家があることが分かり、さらにはその記録が編集者の三間坂の祖父の遺した雑多な…

 土橋章宏 『超高速!参勤交代 リターンズ』

東北の弱小藩に対し、江戸まで5日で参勤交代せよという無茶な命令が老中の嫌がらせによって下されますが、それを切り抜けた湯長谷藩。ですが、疲れを癒すためと行きの道中で出会った女性を身請けするための資金稼ぎで牛久に留まっていた一行が帰途に着く前…

 堀川アサコ 『100回泣いても変わらないので恋することにした。』

地方都市の私立博物館で新人学芸員として働く手島沙良は、ある日公園で可愛らしい猫と一緒に、体長15センチの小さいおじさんを発見します。かつて私財を投げ打ってこの町に公園を作った槇原伝之丞という人物の幽霊だというこの小さいおじさんは、沙良に「自…

 加納朋子 『トオリヌケ キンシ』

「トオリヌケ キンシ」の札の先にある家に住んでいたクラスメイトの女子と仲良くなった少年。高校に入ってから不登校が続いて引きこもってしまった彼のもとに、その少女がやってきます。(『トオリヌケ キンシ』) ものの「形」を見つける事には特化した超能…

 J・D・ロブ 『紅血の逃避行 イヴ&ローク42』

ニューヨークで遺体で発見された才能に溢れ多くの人に愛されていたチェロ奏者は、何日かにわたって拷問をされた末に殺害されていました。事件を捜査する警部補のイヴは、カップルと思われる二人が、ニューヨークへと旅をする道すがらで、同様の犯行を重ねて…

 高田大介 『図書館の魔女 烏の伝言 上/下』

国の混乱により、山に住む剛力と呼ばれる男たちとともに、ニザマの高級官僚の姫君の一行は、山の尾根伝いに外国へ落ちのびる船の出る港を目指します。ですが、辿り着いた港で船が出るまで身を寄せた廓では不穏な動きがあり…。 前作とは視点が完全に変わり、"…

 畠中恵 『まことの華姫』

江戸の地回りの親分である山越の娘のお夏は、父親が姉の死の原因なのではないかという疑いを抱いています。お夏は、父親の持つ小屋でまことの目を持つというお華という人形を相棒にする芸人の月草の舞台に足を運び、姉の死の真相を知ろうとします。今はもう…

 畠中恵 『うずら大名』

名主の家の三男に生まれ、家督も継げずどこか婿入りする当てもなかったものの、長兄は亡くなり次兄は養子へ行っていたため、家を継いでいた吉之助が、ある晩何者かに襲われます。それを助けたのは「御吉兆ーっ」と鳴きながら飛んできた白いうずらと、その飼…

 J・D・ロブ 『孤独な崇拝者 イヴ&ローク41』

「この女はあなたをないがしろにして、悪口を言った。」と、かつてニューヨーク市警の警部補であるイヴとやりあったことのある女性弁護士が、舌を切られた遺体で発見されます。犯行現場に残された犯人からのメッセージには、イヴに対する異様な執着と妄信が…

 三上延 『ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台』

(メディアワークス文庫)" style="border: none;" /> ビブリア古書堂にやってきた吉原という男は、脅迫まがいの取引も厭わない危険な古書店主であった、久我山の弟子であり、栞子の母である智恵子との因縁のある老獪な小道具商でした。栞子たちは、彼が手にし…

 堀川アサコ 『幻想探偵社』

父親の一言で、それまで打ち込んでいた野球が出来なくなり、部活を休んでいる中学生の海彦は、落し物をした同級生のユカリを追いかけて幻想探偵社に足を踏み入れます。幽霊専門のこの探偵社で、海彦とユカリは記憶喪失の幽霊であるヤンキーの大島の身に起こ…