土橋章宏 『超高速!参勤交代 リターンズ』

超高速!参勤交代 リターンズ (講談社文庫)

 東北の弱小藩に対し、江戸まで5日で参勤交代せよという無茶な命令が老中の嫌がらせによって下されますが、それを切り抜けた湯長谷藩。ですが、疲れを癒すためと行きの道中で出会った女性を身請けするための資金稼ぎで牛久に留まっていた一行が帰途に着く前に、失脚したはずの老中が再び権力の座に返り咲き、今度は2日で藩に戻るようにと無理難題を吹っかけてきます。相変わらず時間も人手もお金もない。飄々としながらも悪に屈することを良しとしない藩主の内藤は、またしても知恵者の家老の妙案で、一致団結した家臣らとともに、あり得ない強行軍を試みますが、途中様々な困難が襲い掛かります。

 第1作は映画を見ていたので、実は活字はこの続編しか読んでおりません。
 多分時代考証だのリアリティだのと言い出せば、色々とツッコミどころはあるのかもしれません。ですが、エンタメかくあるべし!といわんばかりの無茶なまでのコミカルさや、痛快さというものが前面に押し出されることで、物語の中では全て成立してしまうという、まさにエンタメの力技がこのシリーズにはあるのでしょう。
 多分新鮮さや斬新さという意味では、前作よりも弱い部分もあるのでしょうが、力技の勧善懲悪。安心して楽しめるエンタメ作品と言えるでしょう。