2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧
招かれざるサンタクロース―イヴ&ローク〈7〉 クリスマスが近付くNYで起こるレイプ殺人。その死者は飾り立てられ、セキュリティカメラにはサンタの扮装をした男が楽しげに映り込んでいる――この招かれざるサンタによる連続殺人と、温かい家庭の思い出が無いた…
難しい事件も無い、比較的平穏な日の終わりに、逆探知出来ない通信を通じてイブに送られた殺人者の挑戦状により、残虐な一連の事件は幕を開けます。 自らの凶行を、崇高な神の意志の代行であると告げる犯人の策略により、夫ロークの執事であるサマーセットに…
誰からも慕われていた老齢の警官の葬儀で物語りは幕を開ける本作は、最初から犯人に関しては明らかであり、とりわけ大した捻りもサプライズもありはしません。ですが、テンポ良く次々に動いていく展開、終始感じられる黒魔術のあやしい空気、そしてスピリチ…
甘いハネムーンで始まる本書ですが、事件の方はかなり重いもの。 一見して自殺する理由も無い、そして自殺などしそうもない人間の死を調べるイブは、この自殺が何者かによって企まれたものではないかと疑います。 そこで出てくるマインドコントロールの扱い…
近未来のNYで刑事をするイブと、謎の富豪ロークとのサスペンス・ロマンスの3冊目。 前巻の最後で、ロークのプロポーズを受けてしまったイブの結婚準備から話は始まるのですが、彼女が使っていた情報屋の死、そしてイブのウェディングドレスをデザイナーと…
ダヴィンチ・コードの中でも語られていた、主人公ラグンドンがかつて関わったというヴァチカンの中枢部での事件の物語。 世界のトップクラスの科学者達の集う研究施設で、一人の科学者が殺害されます。そしてその遺体の胸に押された焼印は、もう消滅したと思…
文庫で250頁にも満たない薄い本ですが、内容は過不足なく、非常に完成度の高い作品であるということが言えるでしょう。 物語はさしたる山場もなく、主に軍の士官と精神科医の非公開の往復書簡、そして軍によって精神病院に隔離された危険な男の回想録で淡々…
6月半ばにして100冊。かなり良いペースですが、このところW杯観戦ですっかり時間を取られてます。
お茶の専門店"インディゴ・ティーショップ"を経営するセオドシアが、毎年恒例の出張ティーサロンを開催したところ、そこに来ていた客の一人がカップを持ったまま死んでいた――という事件で幕を開ける本書。 お茶と毒という、英国ミステリのテイストを期待して…
短編二編、中篇一編が収録された、昭和初期の上流階級という時代・舞台設定と北村薫の筆致が小気味良いほどまでにピッタリときている作品集です。 物語は社長令嬢の英子と、彼女付きになった女性運転手のベッキーさんこと別宮のやり取りが中心となって進んで…
読むほうはトンと進まず。
ダン・ブラウン 『天使と悪魔 上・中・下』 角川文庫 エミール・ジェンキンズ 『アンティーク鑑定士は見やぶる』 ランダムハウス講談社
前2作と同じシリーズで、時代設定はかなり後、同じように「聖なる印」を持つ少女の物語ではありますが、主人公の性格はかなり意識的に変えられている模様。 前作がシンデレラストーリーだとすれば、こちらはその逆を突いているといったところでしょうか。 …
ミステリーランドを純粋に子供向けのレーベルとしてはもはやとらえる人も少ないだろうとは思いますが、さすがに乙一、著者らしい皮肉や如何ともしがたい理不尽さ、そして救いがたい残虐さなども内包しつつ、綺麗に「子供向け風味」の冒険物に仕上げたなとい…
本日は全部借り物。
人物にしろ、物語の背景にしろ、些か書き込みに浅い部分は感じられます。それは作り込みの甘さも勿論あるのでしょうが、淡々とした筆致によるところも大きいような気もします。 その意味では必ずしも低い評価ばかりを与えられるものではないでしょうが、全体…
やり手で有名な女性検事が雨の中で喉を切り裂かれて殺されるという、衝撃的な事件で幕開けをする本作もまた、前作でもそうであったように、犯人探しにおいて重要な要素を締めるのが、いわゆる心理捜査の手法です。快楽殺人の要素を多分に含む連続殺人が進行…